懐かしの赤チン 成分・水銀などの毒性が含まれる真相について
どもっ飯朔です。
みなさんは赤チンというのはご存知でしょうか?
「赤チン」と聞いてピンとくる方はミドルエイジ以上でしょう。
昔はケガと言えば「赤チン」と言うほど万能薬として重宝されていました。
ところがこの「赤チン」、最近ではとんと目にすることがなくなりましたよね。
その理由は何なのか調べてみました。
最近聞かなくなった「赤チン」について
赤チンと言う名はもちろん通称で、商品名「マーキュロクロム液」が一般に浸透している名称のようです。
赤チンの「チン」はチンキのことで、生薬やハーブンの成分をエタノールまたはエタノール精製水の混合液に浸して作った製剤のこと。
子供の頃赤チンは常備薬で「すり傷」や「切り傷」にはまず赤チンが常識でした。
塗ったところが真っ赤になるのが特徴ですね。
ところがいつの間にか姿を消してしまいました。
その理由は一体何でしょうか?
それは「傷」への処置方法の劇的な変化にあります。
まさに「昔の常識は今の非常識」の典型ですね。
今考えると赤チンを傷に塗ると傷口が「カパカパ」になっていたような記憶が
あります。
思い当たる方も多いのではないでしょうか。
ここに問題があったわけです。
消毒することで傷口周辺の細胞を傷つけ修復を遅らせていました。
現在の傷への処置は「湿潤」が基本です。
傷口を清潔な水などで洗い流すだけで特別な消毒は不要。
体からの浸出液に含まれる修復作用を利用するだけです。
本当は医学が進歩し常識が変わったことにあったわけです。
医学は日進月歩ですから当然とも言えますね。
赤チンの危険性 水銀との関係は
赤チンを語るときに「水銀」は避けて通れません。
流通しなくなった原因として水銀が考えられたこともあります。
「水銀」と聞くと私たちはまず「水俣病」の事が頭に浮かびます。
水俣病「メチル水銀」が原因となった公害で、数十年たった現在でも多くの方が後遺症に苦しみ、裁判も継続中です。
そうした水銀の有害性と赤チンに含まれる水銀が同一視されたこともあったのかもしれません。
ここで少し「赤チン」の成分について踏み込んで調べてみましょう。
赤チン=マーキュロクロム液はメルブロミンの2%水溶液のことです。
メルブロミンは有機水銀ニナトリウム塩化合物で水俣病の原因となったメチル水銀とは成り立ちがちがいます。
有機水銀も無機水銀に比べると毒性が高いとされ、人間の中枢神経系に重篤な障害をもたらします。
ただし有機水銀ニナトリウム自体は皮膚浸透性が低く、濃度が薄い希釈液の毒性は低いとされています。
飲まない限り健康に対する影響はないと言えます。
ただ、皮膚殺菌消毒効果はあっても修復効果はなかったようですけどね。
では何故姿を消したのか?
それは1998年アメリカのFDA(食品医薬品局)がメルブロミン水溶液の安全性を「一般に安全と認められる」から「未検収」に変更したことにあるようです。
さらに、2003年ドイツ、2006年フランスが製造中止としました。
一方日本では製造工程で水銀が発生すると言う事で1973年ごろ製造中止になりました。
ところが販売再開を求める声が多く、原料を輸入することで製造し、今でも販売は継続されています。
結論としては、赤チンに有毒な水銀との関連性はなく危険性自体もないと言う事です。
杞憂と言う事ですね。
赤チンの代用品はあるのか
赤チンが市民権を失いつつある中、その代わりとなるものはあるのでしょうか?
赤チンが一種の「風評被害」を被ったあと、代わりの商品として昭和46年に発売されたのが「マキロン」です。
赤い色素が取れにくい赤チンに代り「白チン」とよばれています。
赤チンほどの市民権は得ていないようですが、皮膚の消毒殺菌剤として流通販売されています。
その他にも「ピオクタニン」があり、こちらは「青チン」と呼ばれているようですが、用途が若干違います。
私も使ったことがありますが、「口内炎」に効果があるようですよ。
さらにここで違う角度からも「代用」を考えてみましょう。
「傷」を修復するという視点からです。
先にご説明したように現代では傷の修復には「湿潤」が不可欠です。
傷口を湿らせた状態に置くわけですから、グジュグジュしていつまでも治らない気がしますが、そこが効果的なわけです。
細胞は乾燥に弱く有害な細胞もダメになる代りいい細胞も死にます。
その為傷の修復が遅れると言う結果になります。
かさぶたがが出来て治ったように思っていても、何かの拍子にかさぶたが剥げてしまい、また傷口が開くと言った経験をした方もいますよね。
そこに問題があったわけです。
では具体的にはどうやるのでしょうか?
まず傷口をキレイに洗浄します。で、終了。
「ガーゼは?」と思いますが、乾燥したガーゼをかぶせると有益な浸出液がガーゼに吸い取られ修復がおくれます。
また、最近は湿潤を用いた専用の絆創膏が販売されているようなので、念のために常備しておきましょう。
ただし今お話ししたのはあくまでも簡単な傷に対する方法なので傷が大きく出血が多い時は病院に直行しましょう。
何事も臨機応変が肝心ですよ。
さいご
消えてしまったように見える「赤チン」ですが、どっこい生きてます。
昔からの根強いファンがいらっしゃるようで、今でもそれなりの量が出荷されています。
医学はどんどん進歩しています。
新しい薬が開発され治らないとされていた病気も治るようになってきました。
そんな中「赤チン」のようにいつまでも変わらず存在するものがあってもいいでしょう。
何かロマンとかノスタルジーを感じるのは私だけでしょうか?