漢方薬は自律神経や血行に効果があると実証済み!どのくらい効き目あるの?
どもっ飯朔です。
突然ですが、漢方と西洋医学が融合した治療が医療現場で使われ始めてるってご存知ですか?
多くの方は「漢方」と聞いただけで構えてしまうかもしれませんが、番組「みんなの家庭医学」で漢方のメリットや症状改善といういいとこ取りが紹介されてましたので、記事にしました。
これを知ることで、原因不明な不調も緩和できるかもしれませんよ!
そもそも漢方って何?
いまや多くのドラッグストアや薬局に陳列されてる漢方、ツムラの葛根湯とか有名ですよね。
しかしあれは漢方薬であり、漢方というのは漢方薬・ハリ・あんま(指圧)・灸を含めたことが漢方なんです。
元々は5~6世紀ごろ仏教伝来と共に中国から伝わったとされてますが、そのまま使用していたのではなく日本の風土に合わせて調合し、日本独自のオリジナルの医療となったのです。
漢方とは中国をルーツに、そのまま輸入して日本で完成した独自の医学だったのですね。
そんな漢方が高い効果を発揮するのが、西洋医学で調べてわからない原因不明の未病。
代表的なのが 病名が不明の冷え性・便秘・肩こりの3つ。
これらの症状を、漢方を処方することで不調の出ない身体に作り代えるのです。
昔から大学病院で漢方の研究をされてた?
最近の大学病院では9割の病院で漢方治療が行われているほど注目されてるのですが
実は1939年(昭和14年)国立大学として日本で初めて漢方を扱う研究会が発足。それから約80年間 漢方の研究が受け継がれている。
東京慈恵会医科付属病院の診療部長・北原雅樹先生によると、3千年から4千年の臨床の蓄積がある、だからその分だけちゃんとした使い方をすれば大きな力を持つと話す。
また、日本初の女性専門外来を立ち上げた天野恵子先生によると、女性に多い生理の前後・排卵の時の不調などは血液検査・画像検査しても全然悪くないのに体調がおかしいと訴える人は一杯いる。そういう人達に治療するには漢方がもってこいなのだ。
今回漢方を解説する、日本東洋医学会理事を務める和漢診療教授・並木隆雄先生は30年間漢方医として患者を治療してきた漢方のスペシャリスト。
また厚生労働省研究班の代表者も務めており、2015年12月には西洋医学を科学的根拠にもとづく漢方薬の診断法ガイドラインを作成するトップドクターだ。
便秘など日常にある症状から・肺疾患の改善・認知症緩和・脳卒中患者やパーキンソン病患者にも、漢方薬の有効性が世界であきらかとなったのです。
漢方の独特の診断方法
漢方の診断とは、現在の状態=体質を診ているところがポイント。
身体の様々な部分に触れ、違和感を察知するんですね。
問診
自身の症状を聞き出すことで特徴を知るといった一般的な診断。
脈診
ここからが漢方独自の診断方法。
患者の脈の強弱を診て体調を診察します。
舌診
この診断は特に重要で、舌の色や形・更には舌の苔の状態を知ることで現在の体質を知る大きな手掛かりとなるのです。
皮膚の下の状態が現れてるので、血液や水分などの状態がわかる。
舌の苔は、胃・腸など消化管の状態と関係している
正常な場合 舌の色はピンク色と薄い苔があるぐらいですが、体質が変化すると何かしら異常が発生するんです。
タイプ別に診てみると
・舌(表裏)が紫色な場合は血の流れがドロドロの疑い有り
・舌に苔が多い・形が厚ぼったい場合はストレスによる自律神経の異常で抵抗力が低下してる疑い。この場合、風邪を引きやくい・疲れやすい・冷え性になりやすいなどの症状が表れる。
・イライラしがちの高血圧な人は舌全体が少し赤いようで、これもストレスから交感神経と副交感神経のバランスがおかしくなり、高血圧の他にのぼせ・肩こり・頭痛といった症状になりやすい。
・水分を過剰に摂取してる方は、舌がむくんで歯形みたいな状態になること。この方は、全身のむくみ・下痢・めまい・頻尿等の症状になりやすく、水分の摂りすぎだけでなく塩分の摂りすぎなどの可能性もあるので原因を診て判断する
腹診
直にお腹・ヘソの周りを触ったり押したりすることで、硬さ痛みのある場所を探っていくのです。
体質を決めるポイント
西洋医学では病気の原因を見つけてピンポイントで治療する「病気に対する治療」なのに対し、
漢方とはその人の体質を診てその体質を改善する「人に対する治療」。つまりその人の体質を見極めることが重要なのです。
では体質を決める3つのポイントとはなにか?
・気
気はストレスの影響を受けやすい自律神経や精神の状態
・血
血液の流れに関係する状態
・水
体内の水分に関係する状態
身体の不調は、これら気血水に問題が起こるというのが漢方の考え方なのです。
脈診・舌診・腹診を行い、ストレスに弱い体質なのか?血液に問題がある体質なのか?水分を摂りすぎた体質なのか?と原因を調べていくのです。
漢方薬の驚くべき効果とは?
治らない便秘に悩む患者さんの症例で、漢方薬の効果について説明していきたいと思います。
51歳の専業主婦Aさんは、20年もの便秘に悩まされる患者。
長年に渡りお世話になってきた便秘薬が、最近になって効かなくなりお通じが来なくなったようだ。
今までは便秘薬を飲んだら必ず便意をも要していたのに1週間経っても便意が起こらないほど深刻に。
8日目になると”腹痛”まで襲います。市販の薬では対処できないかもしれません。
第①の薬 便秘薬
そこでAさんは消化器内科で診察してもらうことに。処方された薬は”便に水分を足し軟らかくして便通を促すものでした。処方した2日後にはお通じがやってきて安心したAさん、便秘解消に期待を膨らみます。
しかし薬服用3ヶ月後、しっかり薬を飲んでも一週間以上お通じが来ない状態へと逆戻り。
第①の薬 便秘薬+第②の薬 下剤
再び消化器内科を受診。相談すると下剤も足すことになる。(どうしても出なくて辛い時に飲むようにと申告される)
Aさんは、今まで便を柔らかくする便秘薬+今回の腸の運動を活性化させれ下剤を併用することとなる。
だがこの併用効果も最初だけ。2種類の薬を使用しても便秘解消されることはなかったのだ。
一体何故、2つ薬を飲んでも解消しないのか?Aさんは不安に駆られていくのでした。そして決定的な事態に襲われることになるのです。
就寝中に激しい腹痛が起こり、腸を締め上げられるような痛みは1時間経っても治まらず救急車で運ばれる事態に。
レントゲンで腸を診てみると、腸に大量の便の塊で塞がれている腸閉塞という病に陥ってたのです。
Aさんに肛門から直接薬液を入れる浣腸により無事排出。事無き終えました。
第①の薬 便秘薬+第②の薬 下剤+第➂の薬 強力な下剤
これまでの薬に加え、より強力な下剤を処方されることに。
しかし強い薬でもお通じは1週間に1度あるか無いか。再び激しい腹痛で何度か救急搬送されることが度々起こります。
症状を重く診た担当医はAさんに漢方治療を勧め、並木先生がいる大学病院を紹介するのです。
これまでの下剤を使用しても治せなかった重症の便秘をどう改善させるのか?
3種類の下剤+漢方
並木先生に診てもらうAさん。
問診してから腸に聴診器を当てます。
一般的には腸の音が聞こえてくるはずなのだがAさんの腸の音は聞き取れない。Aさんの腸は動いてなかったのです。
そこで先生は、漢方診断の舌診・脈診などを行いAさんの体質から腸が動いていない理由を探り始めたのです。
すると先生が気になるポイントを発見。
・脈診で手のひらに大量の汗
・かなり速く脈を打っている
・舌診での舌が赤みを帯びている
この3点で導きだした答えは、ストレスに弱い体質。
何らかのストレスにより、自律神経が乱れて腸が動かない状態に陥った とにらんだのです。
処方する薬はというと今までの便秘薬を服用しながら、先生が用意した漢方薬を併せて飲むことを提案。
すると初診から3ヶ月、Aさんの診察カルテには「便通は調子よかった」と改善の兆しが見られたのです。
さらに1年後には「便秘はなし。」とのこと。
どんな薬を飲んでも治らなかった便秘が、漢方薬と便秘薬(西洋の薬)の併用で改善されたのです。
四逆散という漢方
Aさんに処方された漢方とは「四逆散」のこと。
柴胡・甘草・枳実・芍薬 4つの生薬からできています。
・柴胡、甘草 炎症を抑え痛みをなくす作用
・枳実 交感神経の興奮を抑える作用
・芍薬 硬直した筋肉をやわらかくする作用がある
なぜ先生が四逆散を選んだのかというと
柴胡と甘草にある成分で、便秘による炎症や痛みを抑える。
枳実の成分で、腸が動かなくなっている原因「ストレス」を緩和し自律神経を整える。
そして芍薬の成分で緊張している腸の周りの筋肉をやわらかくし、そもそも飲んでいた便秘薬の効果を補助することにしたのです。
交感神経が興奮し動いてなかった腸が生薬の成分で副交感神経が優位になり、腸の動きを取り戻した後に従来の便秘薬も効果を発揮したのですね。
漢方薬の理想的な飲み方
ポイント① ぬるま湯で飲むこと。お湯の方が吸収が良く効果的
ポイント② 空腹時に飲むこと。なぜなら自然由来の生薬なので、食後だと食べ物と影響し合い効果が下がる可能性があるから。
即効性は?副作用はあるの?
自然由来の生薬が原料なので、効果は即効性ではなく緩やかでマイルドに効く。(即効性の漢方薬もいくつかある。芍薬甘薬湯など)
しかし漢方薬でも副作用が出る場合があるので、用法・用量や医師の指示通り飲む事が大切です。
また漢方の購入についてですが、漢方認定薬剤師という資格を持っている方がいる薬局で購入する方がいい。その人の体質に合った漢方薬を出してくれる
先生によりと、漢方薬は最低1ヶ月飲み続けて効果を見ることが大切。
1ヶ月飲んで、効果が少しでもあれば体質に合っている証拠。そのまま飲み続けましょう。
しかし、1ヶ月飲み続けて全く効果が見られなければ体質に合っていない可能性もあるので、専門医に相談してください。
まとめ
いかがでしたか?この記事を読んで、少しでも漢方の重要さを知っていただけたらと思ってます。
漢方診療の問診・脈診・舌診・腹診をすることで気・血・水の原因である体質を把握。
原因不明の病に対し、西洋医学と漢方を併用することで病を緩和できるのです。